【年間389時間の削減を実現!】「黒部市社会福祉協議会」×「SMARTふくしラボ」×「jinjer」による業務効率化ふくしDXプロジェクト

jinjerの社風
【年間389時間の削減を実現!】「黒部市社会福祉協議会」×「SMARTふくしラボ」×「jinjer」による業務効率化ふくしDXプロジェクト

地方における人手不足が深刻化する中、特に介護事業者など福祉関連の団体は、業務効率化に向けた組織改革が求められる時代になりつつあります。

その中で、jinjer株式会社は、富山県黒部市にある「黒部市社会福祉協議会」「SMARTふくしラボ」と共同研究として、「業務効率改善ふくしDXプロジェクト」を実施。
福祉サービス事業者における人事労務や経費精算といった業務デジタル化の効果を検証し、全国の福祉団体などに広げていくプロジェクトとなっています。

今回は、「業務効率改善ふくしDXプロジェクト」が発足してから1年が経過し、その取り組みの中間発表についてご紹介します。

1. 人物紹介

小柴 徳明さん |黒部市社会福祉協議会&SMARTふくしラボ プロジェクトマネージャー

保健体育の講師から転職し2003年に社協へ。2015年に新設した経営戦略係として法人の基盤強化、中長期ビジョン策定、シンクタンク事業の立ち上げなどに取り組む。地域福祉分野におけるICT利活用研究、社会参加や地域の見える化などが関心ごと。国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT)でソーシャルICTシステム研究室の協力研究員も務めている。

高村 千恵美さん |一般社団法人SMARTふくしラボ シニアマネージャー

2016年から黒部市社会福祉協議会で地域福祉分野における調査研究、シンクタンク事業を担当。現在は4月に黒部市社協から派生し設立した福祉分野のDXに取り組む組織「一般社団法人SMARTふくしラボ」に在籍し、研究員として業務に就く。前職は管理栄養士として人々の健康を支えてきたが、今は人々の暮らしを支えていける福祉の仕事に魅力を感じている。

・中村 景一さん | jinjer株式会社 広報室 DXアンバサダー

前職では、大手不動産会社のPR担当として、テレビCM、ブランディング、広報関連の対応など幅広い業務に従事。現在は、jinjer株式会社のPR広報として、コーポレート情報やプロダクト情報の外部発信、マス広告の進行管理、広報組織の立ち上げなど幅広い役割を担当。
また、jinjerのサスティナブル活動の一環として「業務効率化ふくしDXプロジェクト」を推進している。

2. 黒部市社協とjinjerの取り組みの概要と背景

本取り組みは、「黒部市社会福祉協議会」「SMARTふくしラボ」「jinjer株式会社」の三社共同で人事労務業務をアナログからデジタルに置き換えて、業務効率化を進めていくというプロジェクトになっています。

本プロジェクトの目的としては、以下の2つがあります。

①業務効率化を推進し、福祉分野の人材不足を補う

②黒部市全体の福祉の推進

プロジェクトの進め方としては、最終ゴールに「持続可能な福祉サービスの提供」を目指し、それまでの過程をフェーズ1、フェーズ2、フェーズ3と段階を設けて、取り組みを進めております。

フェーズ1では、まず人事労務業務を棚卸し、現在、どれくらいの時間を人事労務業務に割いているのかを把握するところから始めました。

その結果、人事労務業務には年間770時間かかっているということが見えてきました。

また、その「年間770時間」をjinjerの導入により「年間700時間」の削減ができるのではないかと2022年4月に試算をおこないました。

2023年3月までの1年間の間で、実際に「ジンジャー」を導入して業務効率化プロジェクトに取り組んで参りました。今回は本プロジェクトの中間発表をさせていただきます。

3. ジンジャー導入による実績

ジンジャー導入によって、実際にどのような変化があったのかお話いたします。

まず、取り組みを進めていく中でわかったのは、「実際にやってみると、実はデジタル化できる業務が想定以上にある」ことでした。

共同研究を進める中で、黒部市社協の業務効率化につながる分析を精微におこなったところ、業務効率領域としては、勤怠管理業務にとどまらず、給与計算システムとの連携や、雇用契約業務のデジタル化など、多岐に渡ることが判明しました。

結果として、全業務時間が、当初想定していた「年間770時間」よりも約200時間多い「年間987時間」になりました。

そこから、どのくらい削減できたのか。今回のプロジェクトでは「年間389時間」の削減を実現することができました。

当初掲げていた「年間700時間」の削減とまではいきませんでしたが、389時間の削減でも業務改善へのインパクトは大きく、黒部市社協の持続的な社会福祉活動を継続していくための、生産性向上の取り組みの重要な第一歩となりました。

今後、さらなる業務プロセス最適化により、業務負荷軽減と生産性向上を実現していければと考えています。

4. 1年間取り組みを続けてきて気付いたこと

※画像:本プロジェクトに参画して気づいた点を共有するjinjerの中村さん

実際に1年間業務効率化に向けて取り組みを進めてきた中で、ITベンダー側の視点として非常に重要であると考えている要素についてご紹介します。

まず初めに、「ツール導入だけで終わらない」という点です。実際に今回の取り組みでも、ジンジャーの運用に向けて、高村さん・森田さんと週1回のミーティングを開催するなど、密接に連携を取らせていただいたことが大きくプラスに繋がったのではないかと考えています。

具体的には、黒部市社協の総務プロセスや人事プロセスの理解、日々人事労務に携わる担当者様の理解など、業務を理解したうえでどのようにシステムに落とし込んでいくか。関係各所と信頼関係を構築しつつ、導入を進めることが出来ました。

やはり、こういった新しいシステムを導入する際には、「本当に入れる必要があるのか」「なんで入れないといけないのか」といった批判的な意見を持たれる方もいらっしゃいます。

そういった現場の声に耳を傾け、導入メリットを感じていただけるためにも、「ツール導入だけで終わらない」という意識は絶対に必要だと考えています。

それに加えて、「変革への強いリーダーシップを持つ」ということも重要だと感じています。

やはり、こういった業務効率化は取り組みを始めて、すぐに結果が出る類のものではありません。

そのため、「うちの企業はこういう人事戦略・DX戦略を描いていこう」というビッグピクチャーを描けるリーダーがいないと、推進力が高まってこないのではないかと考えています。

こちらに関しては、小柴さんが社協内で推進力を持って動いていただけたことで、本プロジェクトを円滑に進めることが出来たと考えています。本当にありがとうございました。

今回のプロジェクトでは、「ツール導入では終わらないという意識」「変革への強いリーダーシップ」という2つの要素が備わっていたからこそ、「389時間」の削減という成果に繋がったのではないかと考えています。

5. その他、今回の研究をもとに見えてきたポイント

実際に、取り組みを進めてきたなかで、下記2点のポイントが見えてきました。

1つひとつ、解説していきます。

①ツールを導入した直後は、一時的に業務負担が増える

②職員と管理者で、業務時間の削減には大きな違いがある

まず、①に関してですが、ITツールを導入した直後は「紙でおこなっている通常業務」と「紙からデジタルに移行する手間」の2つの業務が発生するので、業務負担は一定上がります。その後、右肩下がりで業務時間が削減されていくという流れになります。

ここまでは想定していたのですが、実際に取り組みを進めていく中で、②の「職員と管理者で、業務時間の削減幅には大きな違いがある」ということが分かりました。

職員に関しては、スマホやPCでの打刻に関して、慣れるまでは少し負担はありますが、慣れてしまえばスマホでボタンを一押しするだけなので、業務負担がスムーズに減少していきます。

一方で、管理者に関しては、

・従来とは異なる勤怠打刻の浸透

・職員からの不具合やトラブル対応

・従来とは異なる勤怠の締め作業

など、業務負担の具合やかかるタイミングが異なるということが見えてきました。

ツールを導入することで、「どの立場の人に、どのタイミングで、どのくらいの負担がかかるのか」を考慮して、デジタル化を推進していくことが重要になってきます。

6. 実際にツールを導入してみた現場の声

ジンジャー導入に対して寄せられる声として、「勤怠管理が正確になる」ということが挙げられます。

従来の「ハンコで打刻する」場合だと、「出勤した」という事実は残りますが、30分に打刻したのか、25分に打刻したのかが分からず、正確な出勤・退勤の時間を把握できないという問題がありました。しかし、勤怠管理をデジタルにすると、打刻した瞬間にその時刻が記録されるので、勤怠管理を正確におこなうことが出来るようになりました。

一方で、デジタルになったことで、勤怠に関する承認フローをきっちり守る必要があるので、慣れるまでは少し大変でした。

例えば、紙にせよ、デジタルにせよ、超過勤務を申請する際には、担当職員から上長、課長旧管理職、局長という流れで承認を得るプロセスが発生します。

紙で勤怠管理をおこなっていた時は、直接局長に承認を取りに行ったり、紙で渡しておくので承認が事後になったりすることがありました。

ただ、デジタルで勤怠管理をおこなうと、しっかりフローに沿って承認をおこなう必要があるので、「それぞれの管理職が早く承認しないと、休暇申請が下りない」ということが発生します。そのため、今まで以上に管理職が勤怠管理を細かく見ていく必要があります。

7. 黒部市社協の職員さんの声

好意的なご意見

・出勤・退勤時はハンコを持った状態で、職員が出勤簿の前に列を作るような状況だったが、パソコンでも、スマホでも打刻できるようになったため、毎朝の手間が省けた。
・自分の席で打刻できるのが便利
・介護ヘルパーさんなど直行直帰することが多い職種にとって、どこでもスマホで打刻できるのは非常に便利。  

今後への要望

・ときどき打刻を忘れることがあるので、アラート機能を付けてほしい
・色々な年代の方が働いているので、画面内の文字を調整する機能を付けてほしい

8. 2023年度 実証実験の方向性

最後になりますが、2023年度の実証実験のテーマとしては、大きく2つ掲げています

まず、1つ目は「ふくしDXプロジェクトの継続的な推進」です。

こちらに関しては、引き続き皆様が働きやすい環境を創るため、勤怠管理以外の分野でも効率化できそうな箇所を探しながら、更なる業務時間の削減を進めていきます。

2つ目は、「持続可能な組織体制の確立」です。

端的に申し上げると、短期的にはコストも時間も削減できないけど、将来的には楽になるといった、「中長期のデジタル化」を進めていきたいと考えています。

具体的には、現在は紙やExcelで管理している「人事記録」や「昇給記録」「異動記録」といった情報をデータベースで、一元管理していきたいと考えています。

元々、ジンジャーは「人事情報をデータベースで一元管理できる」という点に強みを持ったシステムなのですが、段階的に導入しているため、現状としてはまだ、強みを活かしきれておりません。

そのため、現状としては職員の情報が色々な場所に点在しており、人事の方でも集めきれていないという状況になっています。今後、人事データを一元管理できる体制を整え、近年注目されている「人的資本の情報開示」や「タレントマネジメント」などにも着手していきたいと考えております。

ここまで、ご紹介させていただいたものが「黒部市社会福祉協議会」「SMARTふくしラボ」「jinjer」による業務効率化ふくしDXプロジェクトの中間発表となります。

こういった形で、プロジェクトの結果を公表しつつ、プロジェクトの良い部分・足りない部分含めて、皆様に知っていただきながら、引き続き「ふくしDX」を実現できるような取り組みを推進していければと考えております。

 

この記事を書いた人
mukai
向井 浩一郎
はじめまして!jinjer株式会社の向井です! 2022年に入社し、人事担当者向けメディア「HR NOTE」を通して、 採用・組織・労務・HR Techなど、人事担当者や経営者の皆さまの課題に寄り添った幅広いコンテンツ発信に取り組んでおりました。 現在は広報として、jinjer社で働く人や社風を発信する「シェアズ!」の運営やその他PR活動に取り組んでおります。 よろしくお願いいたします!